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俺の話しを聞けVol90 「神様」
 
 今年は伊勢神宮が20年に一度の式年遷宮、出雲大社が60年に一度の本殿遷座祭を迎える。

 伊勢神宮の式年遷宮は1300年前、天武天皇がその行事を決めたいという説だが、太古の昔はともかく、現在では1回の

 遷宮で500億円以上の費用がかかる。今年で62回目。日本が戦時中もこの行事は行われた。そこまでしなければ

 ならない理由は何なのか?
 そもそも出雲大社は「大国主命」をお祭りし、旧暦の10月は出雲以外の場所では「神無月」出雲では「神在月」と
 呼ばれ、全国の神々が集まると言われている神々の聖地だ。余談だが、私も2年前の改修中にお参りして、

 大神様が仮本殿に移っているという事で、高運にも大社の本殿に上がる事が出来た。

 さらに余談を重ねると、学生の時に建設関係を目指していたこともあり、出雲地方の大社建築物に興味があって

 しばらくこの地にいたこともあったので、今でも興味は尽きない。
 伊勢神宮は神道のいわば総本山。外宮は「豊受大御神」をお祭りし、内宮は「天照大御神」をお祭りしている。
 「豊受大御神」の「うけ」とは食物を表し、豊かな食べ物の実りの神様だ。
 「天照大御神」は皇室のみならず日本人全ての総氏神と称され、三種の神器の八咫鏡お祀りされている。
 ところで「神様」とは何だろう?外国人にあなたの宗教は?と聞かれて何もありません。と答えると怪訝な顔をされます。
 彼らにとって宗教を信じないことが信じられない話なのです。
 世界の様々な宗教というのは基本的に神の教えを実践していくもので、「教義」を中心として神と人間の生きて行く契約で、
 「信じる宗教」ともいえます。日本人の多くがこよなく愛する神社仏閣を「神道」とすると「神道」には「教義」と
 いうものがありません。「八百万の神」と言われる無数の神々をどのように感じるかは人それぞれの感性によって
 違ってきます。神主一人一人に解釈があり説明も変わります。仏教の弘法大師やお釈迦様の教えとは違って、
 「神道」を一言で言うと「感じる宗教」の後ろにいる「八百万の神」に手を合わせ、願を掛けお正月や入試の際に
 お参りしているのです。
 宗教の話しになるといささか難しい問題になりがちですが、日本人は何も信じていないのではなく、
 神様と「教義」によって縛られるのではなく、手を合わせる事で自分自身と約束してうまく行っても行かなくても
 神様を恨むことでもなく、他人を恨むでもなく、自分自身に言い聞かせられる、世界でも珍しい人種なのかもしれません。
 毎年お祭りが近所の神社で行われます。自分が生まれた近くの神社を「氏神様」と言います。
 子どもが生まれて行かなくてはならないのは有名な神社ではなく近くの神社でお宮参りをします。
 お正月に初詣に行くのも氏神様が最初です。お祭りには「御霊」をいただいたお御輿を担ぎます。
 日本人はそんな風に育ってきました。江戸時代は「いつかは伊勢神宮」(お蔭参り)とお金を貯め総本山に向かったと
 いうことです。
 神話の世界の事かも知れませんが、1300年も続いている事を考えると「神様」は僕らを皆持ってくれているんだ!
 とその存在を改めて感じます。
 
 
 
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