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俺の話しを聞けVol115 「ベア」
 
 私も久しぶりに聞いた言葉で、おそらくここ十数年ほとんど出てこなかった死語に近い言葉かも知れない。

 私が組合の関係で正月から数か月「ベア」という言葉と毎年付き合っていたのは30年以上前の事。賃金は毎年上がるもの。

 物価が少なくとも1%〜大きいときには4%上がる。不動産資料の計算は最低が物価上昇率x人口増加率なんて項目が

 書かれていた時代の話し。私達より少し前の時代は賃金の上昇率は10%は当たり前。15%UPなんて時代もあった。

 賃金の底上げ(ベースアップ)、定期昇給(年齢・経験給)を指数表を作って、初任給まで決定する。加えてボーナス(一時給)の

 要求をする。
 給料というのは1年経ったら上がるものだということがきわめて当たり前の時代だった。

 当時の人事の社員が評価の最も低い社員に「君はこんなに評価が悪いのに何で働けるんだ?」と質問したところ、

 「悪いと知っていたが、毎年給料が上がるので問題はないと思っていた」と。なるほどごもっともな話しだ。

 しかし当時の制度では給料を下げるというのはよっぽど会社に対して問題行動を起こし、けん責や懲戒処分を
 受けない限り出来ないことだった。
 十数年前から日本の成長が止まり、デフレ経済が安定してくると、物価は下がるものの、九両も上がらないどころか、
 人事院勧告でさえ下げる事が当たり前になってきた。新商品はどんどん出てくる、新しいものをわざわざ高いお金を出して
 買わなくても、少し待てば必ず下がってくる。モノが売れないのである程度飽和状態になると、
 商店やスーパーが勝手に安売りを始める。ディスカウントストアはさらにその下をくぐる。物価がどんどん低下していくので、
 給料がさらに下がる。まさにデフレスパイラルの始まりだった。誰もが駄目だと気付きながら過去の成長していく
 右上がりの経済イメージにあまりにも慣れすぎていたために、舵を切り替えられないまま時代は過ぎた。
 誰かが何かしなければの一つが「アベノミクス」だったと思う。「ベア」という言葉を聞いた若者が、
 「安倍」の反対で「ベア」という言葉が新しく出てきたと勘違いしているという話もあった。
 今年の春闘(この言葉も久しぶり)で大手企業がベアの引き上げを決定したが、私もその事は大賛成だが、
 このベアには賞与の算定基礎にも関わる話しで、今年は良かったが来年はどうなるか保障の限りではない。
 これに「定期昇給」もきちんと加われば当時の賃金体系になってくる。

 ただ、この従来の日本型の賃金制度がはたして正しいのか?企業の中には年功序列型を廃止して「能力給」を重視したり、

 終身雇用を前提としたスタイルを排除したり、大きく変化してきている。
 人事制度というのはある意味、企業の根幹になる話しで、働く人の人生を左右してしまう。
 確実に言える事は、国は私達を守ってくれない。
 自分は自分で守らなくてはいけない。会社は社員を守らなくてはいけない。その中で時代を把握し、
 将来を見据えた自社に合った人事制度を見直す時代に入ってきた。
 
 
 
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